2020年1月17日に、国際地質科学連合は韓国の釜山で開催中の理事会で、約77万4千~12万9千年前の地質時代を「チバニアン」命名することに決定しました。
「チバニアン」とは、「古生代」「中生代」「新生代」など、地球史における地質時代の新たな名称のことです。「チバニアン」と命名された時代は、現代人と同じ人類「ホモ・サピエンス」が生まれた時期と重なります。
今回の決定で国内外の多くの研究者が千葉に注目すれば、地質学の研究が盛んになり、研究者の育成にも繋がると期待されています。
チバニアンと名付けられた理由
千葉県市原市の養老渓谷にある「養老川沿いのこちらの河原」が、今回、「チバニアン」と命名された地層になります。
「チバニアン」は、日本の地層とその地名「千葉」にちなんで名づけられ、ラテン語で「千葉の時代」を意味します。
地質時代には名称が与えられ、地名や部族名、地層など、様々な由来から決められています。
例えば、「カンブリア紀」はイギリスの古い地名に、ジュラ紀はフランスとスイスの国境となっている「ジュラ山脈」に由来します。
チバニアンとは
「チバニアン」とは、約77万4千~12万9千年前までの地質学上の時代を指し、これまでは「中期更新世」と呼ばれてきました。
基準となった養老渓谷の地層は、77万4000年前に海底で堆積したものです。
この時期に、地球の地磁気が南北逆転するという特殊な現象が起こりました。
地層の前後には、その「逆転」を示す成分がしっかりと残されていたのです。
地層の中の鉄を含む粒子を分析した結果、地磁気が数千年をかけて向きを変え、逆転したことが確認。
現在までの360万年の間に、地球の地磁気の逆転現象は少なくとも15回あったと考えられていて、およそ77万年前の逆転は、その中で最後の逆転だということです。
日本の地層が「国際標準地」として登録されるのは初めてのことで、地質時代を示す「標準地」と認められた金の杭(ゴールデン・スパイク)が、養老渓谷の地層打ち込まれます。
日本初の金の杭で、歴史上の快挙です。
今後、歴史の教科書にも、記載されることになるのではないでしょうか。
チバニアンと命名が正式に決定されるまで
2019年11月に、千葉県市原市田淵の養老川沿いの地層が、地質学の更新世中期にあたる国際標準模式層断面及び地点として国際地質科学連合で、ほぼ基準値認定が認められたというニュースが入りました。
その時は、まだ正式決定はされていず、幾つかの審査が残っていましたが、ほぼ決定とされていました。
実は、日本のグループが「チバニアン」を申請したのに対して、イタリアからも2つのグループが国内の地層を「イオニアン」と申請。
国際学会の委員16人が投票で決めることになり、結果はというと、日本が11票を獲得し圧勝!
さらに審査され、来年には正式に決まるとされていた経緯がありました。
日本の「チバニアン」が選ばれた理由
日本の「チバニアン」が選ばれたのは、質の高いデータを揃えられていた事によるものだと思われます。
イタリアの2地点は鉱物の性質が変化していたり、地磁気逆転のタイミングが手法ごとにずれていたりして適切な記録と認められなかったのに対し、日本は地磁気、化石などの多分野の研究者ら30人以上が申請に必要な資料をまとめました。
高い精度で、最後の地磁気の逆転が起きていた時期を特定できた点が、評価されたのでしょう。
国際地質科学連合
国際地質科学連合とは、地質学の分野における国際協力を目的として設立された、非政府科学機関のことです。
英語で「International Union of Geological Sciences」、略称は「UGS」
国際地球観測年の成功を受けて1961年の3月に設立され、事務局はノルウェーのトロンハイムにあるノルウェー地質調査所おかれています。
117か国の団体により組織され、国際科学会議の参加メンバーでもあります。
世界的に重要度の高い地質学の問題についての研究、奨励、促進!
地球科学における、国際的なサポートも行っています。
チバニアンの行き方(アクセス)
所在地 : 千葉県市原市田淵1898
アクセス:小湊鉄道 「月崎駅」より徒歩約40分
広い駐車場があり、そこから少し歩いて坂を下ると「チバニアン」の地層があるそうです。
河原を歩いて行くので、長靴や歩きやすい靴、滑りづらい靴が必要です。
まとめ
「チバニアン」は、日本初の「国際標準地」として登録された地層です。
千葉県民にとっては地名が歴史が残り、今回の命名は嬉しい限りでしょう。
SNSでも話題になって、Twitterではツイートが絶えません。そのうち、千葉県市原市の名所となりそうですね。